離婚時の財産分与で、税務上の基本的な考え方は、財産分与をする側にとっては財産分与義務の消滅として経済的利益を対価とする譲渡であり、財産分与を受ける側にとっては財産分与請求権に基づく財産の譲り受けです。
以下、離婚時の税金について表にしました。
税金の種類 | 財産分与をする側 | 財産分与を受ける側 |
---|---|---|
贈与税 | ー | 原則:課税されない 例外:過大部分に課税 |
所得税 | 譲渡所得税が課せられるケースあり | ー |
不動産取得税 | ー | 原則:課税される 例外:財産分与の全部または一部が課税されないケースあり(要確認) |
登録免許税 | ー | 所有権の移転として課税される |
財産分与の対象財産が現金のみである場合には、原則、税金が課せられるケースはありません。
対象財産に不動産、株式など現金以外が含まれる場合には、税金について検討する必要があります。
実はあります。
所得控除と言う言葉を聞かれたことがあると思います。
所得控除とは、納税者本人に扶養家族が何人いるのか、また病気、災害に遭ったなどの個人的な事情を加味して、税を調整するしくみことです。
この所得控除も大別すると、納税者本人やその家族など人が対象となる「人的控除」と支払った医療費や社会保険料、災害を受けたときなど、人以外の物が対象となる「物的控除」のふたつに分かれます。
その「人的控除」の中に扶養控除や配偶者控除などがあります。
ではその配偶者などがいるかどうかの判断(人的異動の有無)はいつするのでしょうか?
12月31日時点でします(細かい話ですが、年末調整時と12月31日時点で変動がある場合は、会社に年末調整のやり直しをお願いするか、自分で確定申告することになります)。
つまり、暮れに離婚の手続きを行ってしまうと、その年1年間にさかのぼって結婚していなかったと判断されるわけです。
その年の税金を源泉徴収で既に納めているとすると、その税額は配偶者控除などを受けた少ない金額です。
しかし、その離婚によってその控除の対象から外されますので、さらに納税する
義務が生じてしまうわけです。
離婚の手続きは年明けにすると税金の面からいえばお得になると言えます。
逆に暮れに結婚をすると1年間にさかのぼって結婚していたと判断されますので、配偶者控除が受けられます。
結婚は暮れにすると税金面ではお得になるわけです。
もちろん配偶者が一定額以上の所得があれば対象外となります。
配偶者に不貞行為があって離婚することになりました。
離婚慰謝料を300万円もらうことになったのですが、慰謝料に税金はかかるのですか?
原則、離婚慰謝料は、金額にかかわらず税金はかかりません。
ただし、慰謝料ではなく、贈与とみなされた場合は贈与税がかかります。
要は、実体が慰謝料ではないと判断されると課税されるのです。
明文された規定があるわけではなく、それぞれ個々の事情によって判断されますので、詳しくは当事務所までご相談下さい。
寡婦控除は、女性の納税者が所得税法上の寡婦に当てはまる場合に受けられる所得控除です。
控除できる金額は27万円、特定の寡婦に該当する場合には、35万円です。
寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人です。
夫と死別し、もしくは離婚した後婚姻していない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得控除等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
夫と死別した後婚姻していない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
※夫とは、民法上の婚姻関係をいいます。内縁関係は含まれません。
寡婦に該当する方が次の要件のすべてを満たすときは、特定の寡婦に該当し、寡婦控除の額を27万円に8万円を加算した35万円とする特例があります。
夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
扶養親族である子がいる人
合計所得金額が500万円以下であること
寡夫控除は、男性の納税者が所得税法上の寡夫に当てはまる場合に受けられる所得控除です。
控除できる金額は、27万円です。
寡夫とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。
合計所得金額が500万円以下であること
妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること
生計を一にする子がいること
この場合の子は総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
居住用家屋について、財産分与によりその共有部分を追加取得した場合には、住宅借入金等特別控除の適用に当たり、新たに家屋を取得したものとして、当初から保有していた共有部分と追加取得した共有部分いずれについても、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
したがって、共有部分の追加取得に係る一定の住宅借入金等特別控除等の金額を有するなど、その他の要件を満たしている場合には、追加取得した居住用家屋の共有持ち分についても住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
なお、住宅借入金等特別控除の額が、当初確定申告で申告した内容と異なることから、再度、確定申告が必要となりますので注意が必要です。
※居住用家屋の共有部分の追加取得であっても、追加取得時において自己と生計を一にし、その取得後も引き続き自己と生計を一にしている親族等からの取得は、住宅借入金等特別控除の対象となりません。
谷 雅史行政書士・社会保険労務士事務所
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