協議離婚をするなら、夫婦で取決めした慰謝料、財産分与、養育費などについては、必ず書面に書き残しましょう! 離婚をするときは、なかなか冷静に話し合いができず、早く別れたいばかりに簡単な口約束だけで別れてしまう、ということがよくあります。
そのため、とりあえずの問題は処理できても、慰謝料、養育費の支払や子供との面接交渉など長期間にわたるものは、後々約束が守られなくなったり、「言った、言わない」の言い争いになることが考えられます。
離婚時には「話合いができたので、今後はトラブルは起きない」と思った場合でも、離婚にあたって取決めしたことは、きちんと「離婚協議書」などの書面(タイトルは何でもいい)に書き残しておくことが、とても大切です。
ここでいう「離婚協議書」とは、公正証書による方法ではなく、夫婦が任意に離婚についての協議書(契約書)を作ることを意味しています。離婚協議書の作成には、特に決まった書式はありませんが、離婚についての協議書ですので、通常下記のような内容について記載します。
(離婚協議書に記載する項目)
〇 慰謝料の額と支払方法
〇 財産分与の額と支払方法
〇 親権者はどちらにするか
〇 養育費の額と支払方法
〇 子の面接交渉の回数や方法
など、離婚で合意した内容を記載し、日付、当事者双方の署名・押印をします。
離婚協議書には、公正証書のように強制執行(差押えなど)ができる効力はありませんが、将来、養育費の請求を求める調停をおこすような場合には、この協議書が有力な証拠となり、請求する正当性があることを主張できます。
離婚協議書の簡単な書式は、本やインターネットでも調べることができますが、より専門的で効果的な離婚協議書を作成したいときは、当事務所の離婚協議書の作成サービスをご利用ください。
公正証書(こうせいしょうしょ)…おそらく多くの方には、聞きなれない言葉でしょう。公正証書は、公証役場という場所で、公証人という法律のプロの方に作ってもらう書面のことです。
協議離婚と公正証書にはどういう関係があるのでしょうか?
協議離婚をするにあたり取決めした内容は、「離婚協議書」として書き残しておいたほうがよいことは、前の離婚協議書のところで書いたとおりです。離婚協議書で夫婦が約束した内容は、離婚が成立した後ももちろん有効です。
しかし、夫が離婚協議書で約束どおりに養育費の支払をしないときは、どうなるのでしょうか。
その場合には、妻は
きちんと払うように、夫に連絡をする。
それでも効果がなければ、家庭裁判所で調停をする。
調停で、夫がきちんと払うという約束を取り付けて、それを調停調書に書いてもらう。
それでも支払がない、または遅れるときには裁判所に強制執行(差押え)の手続をとる。
ということができますが、差押えができるまでには、たくさんの作業と時間が必要です。
一方、離婚について取り決めた内容を公証役場で、離婚公正証書(執行認諾文言付き)で作成しておけば、夫が離婚公正証書で約束した支払を実行しないときは、上の1〜3の段階を踏まずに、直接4の強制執行の手続をとることができます。
これは、執行認諾文言を付けて作成した公正証書は、「公正証書で約束した内容を守らないときは、強制執行されても構いません」ということを公証人に対して述べた書面なので、このような公正証書は、裁判の判決と同じような効力(債務名義と執行力)が認められて、公正証書で約束した支払が実行されないときは、直ちに強制執行という強い手続を取ることができるのです。
したがって、公正証書を作成すると、次のような効果が期待できます。
債務名義としての効力
(誰に支払義務があるのか明確にし、支払義務者の財産を差押えできる)
証拠としての効力
(公証人の面前で作成する書面なので、信用性が非常に高い)
心理的圧力になるという効力
(約束を守らないと財産を差し押さえするよ!というプレッシャーを夫にかけることができる)
以上のことから、離婚についての取り決めは、できれば離婚協議書ではなく、公正証書として作成しておくことを強くお薦めいたします。
公正証書は、基本的には当事者(離婚の場合は夫婦2人)が、公証人のもとに出向いて作成してもらいます。ただし、仕事や地理的な都合で、当事者の一方または双方が公証役場に出向くことができないときなどは、委任状をもらった代理人が代わりに公証役場に出向くことができます。
お二人で公証役場に出向いて、公正証書に記載して欲しい内容(離婚にあたり取決めしたこと)を公証人に告げれば、公証人がその内容を公正証書にしてくれます。しかし、公証人は法律のプロであり書面作成が仕事ですから、個々の離婚相談に対応してくれるわけではありません。
あなたが言う「公正証書に記載して欲しい内容」に問題がなければ、公証人はその通りに公正証書を作成しますが、公証人はご夫婦の離婚原因や離婚理由、夫婦の財産などについてまでは知らないので、「こんな心配はないの?」とか「こんな内容も入れておいたら」というアドバイスは、おそらく公証人はしてくれません。
したがって、離婚公正証書の作成は、事前に離婚の専門家に相談する、または離婚の専門家のサポートを受けながら公正証書を作成することをお薦めいたします。
まずは、相談者(通常はご夫婦の一方)が当事務所の行政書士が面談をして、ご夫婦の話合いの内容をじっくりうかがい、公正証書の原案を作成します。原案がよろしければ、行政書士が公証人と打合せをして、公証人には法律的な判断を行なっていただき、より効果的な内容の離婚公正証書の作成を目指します。
また、公正証書作成にあたっては、公証役場へ納める手数料がかかります。手数料は、離婚公正証書に記載する内容の金額により異なりますが、離婚公正証書であれば3〜5万円くらいで収まるケースが多いように感じます。詳しくは、公証役場での手数料 をご覧ください。
谷 雅史行政書士・社会保険労務士事務所
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